そういやわたし今朝パン咥えて家出た漫画みたいだったー、ははは、と日付は変わっておそらくは寝っ転がりながら電話口で言うので何それ何それと尋ねてみると、普段よりも1時間早く出勤しなければいけなかったから気合を入れて6時に起きたんだそうだ。で、起きてすぐに食パンをトースターにセットした。焼き時間は3分だか4分家を出るのは余裕を見て7時20分、その4分間寝ようと思って4分後に目覚ましを再セットしてごろんとソファーに横になって、は、と気が付いたら携帯の表示時刻7時30分で化粧とかなんもしないで10分で支度してパンのこと思い出してもったいないからパン出してハチミツぶっかけて真ん中から折り畳んで口に挟んで駅につくまでもぐもぐって口に全部押し込んでー」
あはははー。それを聞いて、へええ、と感嘆、いや感動。そうか女子が朝パン咥えて走る説得力あるシチュエーションってそういうのもあるのかっていや説得力も何もこれ実話、うわーそれほんと漫画みたい凄い凄い。
でしょー凄いでしょー漫画みたいでしょー。
先週末に夜中、新宿で落ち合って飲んでそういや今日芝居観るって言ってたけど何ていうの見てたのヒッキーカンクーントルネ−ドっていうハイバイって劇団の芝居、ほとんど仕事の延長で五反田でそれ見たどうだった?(良かった、ていうか色々めちゃめちゃ言ってた上記パン女性に、あのさー明後日文学フリマってのがあるんだけど一緒に行ってみないと誘ってみて、いいよと言われたので一緒に行ってみる。品川駅を経由するならどうしても行きたいパン屋がある(えーとねこのパン屋は下北沢だったか三軒茶屋かどっちかの本店の支店、この卵なんとかはここにしかない)、というパン屋の名前はなんだっけ忘れたカレーパンに竹の子のおやきあれまじ旨かったに寄ったりしつつ蒲田の会場に到着し、雰囲気(主に人、そして匂い)いや今日こんな天気だしに唸る彼女を横目で見つつうはーなっつかしーと思うおれ。初めてでしたが文学フリマはバックトゥ大学時代、ていうか文学サークルは見渡してまるで全員知り合いだ。なんであんな皆そっくりなんだろう、と後から喋っててそれは服装見た目だけじゃなく一致したのは態度、そして回遊してるときに聞こえてくる喋りはみんな物凄く丁寧だよねってのも穏やかに敬語、興に乗っても酔っ払ってもそれでも敬語が渦巻く文学フリマ会場はいやでもね、いやってか、と言う。ほんとあんなんだったよあんなんだよおれがかつていたサークルもまじであんな(略)(出店しとった)
通路をうろついていたとき、ねえ、と後ろから小声で言われて混んでたし体と言うか歩幅を緩めて耳を寄せると「あのさあ、気付いたんだけど、男女で来てる人全然いないね」あー。なんつうか。「爆発するかも」それ聞いてははっ、と笑ってくれたので雨の中一緒に来てくれてありがとうなんか報われたと思う。だってそれまで笑顔無かったんだもんよー。
で、蒲田に来たんだから餃子食べようと食べログで見つけ出してくれた店は仕込みというか休憩時間中で中華系の店は軒並みそんなんで機嫌がだだ下がりの彼女とおれは双方に徐々に主におれですがリカバリーを繰り出しつつ行ったことある双方が納得する激ウマな池袋の中華料理屋で手打ち。しかし頼んだこと無いもの頼んで悶絶。旨かったけど。油油油油油辛い辛いでもうめーなんだこれ、みたいなとんでもない真っ赤な料理(白身魚と野菜の辛煮込み水一切使用せず油で)をつまみつつ、批評について話した。ていうか聞いた。わたしの知り合いにもいる、てかそういう人は多い、と返事をしてくれる。おれは謹聴。以下うろ覚え。「前提として誰に書いてるんだってのが大事。そして対象は明確でもその対象は変わってくれない。何も変わらない。そこに絶望して現場に移る人のいかに多いことか」
ただ自分の考えを明確にしたいか、あるいは自己表現の一種として選んでる、とおれは反論した。なんだろう、言葉にはならなかったけれど、擁護したかった。おれの何倍もそのことについて考えてる、ていうか職業として専門家の彼女に対してそのなんだあれだ。
いや、ほんとうに。言ったことないけれど、その彼女は理想主義者なんだと思う。勉強してきたこと、選んだ職場、考えていること、現場でやったこと、その全てが今にずっと繋がってる。その彼女がいつかこんなことを聞いた、という形でおれに話してくれたことがあって、それを覚えてる。かつて黒テントにいたどっかの大学の先生が「俺たちは敗北した」ってどっかで飲んでて言ったんだそうだ。おれはそれをなんか、辛い、という感情と共に覚えてて、おれにそれを教えてくれた彼女にも、昨日目にした文学フリマの参加者たちにも、そういうふうには思って欲しくないなって思う。わかんないけど。
二人とも何も購入しないで40分くらいで会場を後にして雨の中帰り道、なんか、あの場でなんか売ってた人たちは金を払う読者がいるということを意識しているに違いない(なんつうか、色々と、どれだけ意識的なのか)、ていう点でめちゃくちゃにそれをなんでもいいから読んでみたいしまった買えば良かったーと後ろ髪を引かれてそれを口にすると待ってるから買ってくれば、と言われる。そこのコンビニにいるから。いや悪いよいいよと言うと迷ってんのがむかつくからとっとと行け、よく言われる、と言われて後からまた何か言うと後悔を口にした今以上に気分マリアナ海溝みたいなのは経験上、分かりました買ってきます15分で!と早足でバックしてザザザっと高速で選んで一冊購入して、その晩眺め、500円だったけど惜しくない、と思う。東京学芸大学現代文化研究会の【F】っていうのを買った。暴力特集。アルザス地方の母国語どうのこうのって喋った(おれの教科書には無かった、と思う。知らなかった)のちに、どんな経緯か虫めづる姫君(正式名称は知らない)をいきなり思い出して激烈に勧めるおれはそれ好きなんだ。暴力関係は不明。ていうかなぜその話に連想したのは確かだけれど全然覚えてない酔ってたしー。ふーん、みたいなー。てかなんであの話になった。あー。銀の海金の大地もののけ姫?かなあ忘れた。しかし翼の帰る処を全力で勧めたのは確か。読め読め読めー。