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- 作者: 小川一水,こいでたく
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2008/12/19
- メディア: 新書
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めちゃくちゃに発達した世の中で最終的に導き出された方法がボロボロに殴られてもそれでも無料で提供する、っていうところがなんだか泣けた。つまりその、価値を認め合うことができるから対話できるけれども、その価値が貨幣よりも以前、思いやりってところまで物語の最後では私が一番ぐっときたところではバックする。人が人である理由、進化を続けることができる理由、それは結局相手のことを思いやることができるからだってそこまで描いてるように思う。祐機やジスレーヌ、二人が生んだ子馬に託して。祐機が作り上げた子馬の決定的な部分は、自己増殖する、水を産む、軍事目的じゃないとかじゃなくて次のとこ。書いてあるんだけど。
決定的に重要なのは、子馬が、呼ばれない限りやってこないという点だった。援助しようとする内外の人間は、どうしてもその一点が守れないのだ。
以下蛇足。
ほとんど無料でパソコンをインターネットをばらまくって事業を今ビル・ゲイツはやってるってどこかで読んだことがあるけれど、無形の、要するに信頼感をばらまいてるんだなって思う。立ち上げて浮かぶロゴ。水を生産する機能をつけりゃいいのに。あるいは水鉄砲。銃弾の代わりに水を出すカラシニコフ。なんか、そういう夢。小川一水は夢をばらまく作家。凄いことだ。