先日地下鉄に乗っていたら、隣に座ったカップルの男性のほうが鞄から本を出して膝の上に置いた。なんの本かは特に確認せずにただその存在感から文庫じゃないな、でっけえ本、と思って前を向いてたら女の子のほうが「あーそれ知ってる。友達の家にあった!」と言って身を乗り出して、彼氏はうんと頷いたか相槌を打ったか、本を読み始める。彼女のほうあんまり気にしない。というかほとんど気にしないし見もしない。手持ち無沙汰になった彼女しょうがなく前を向く。ここでなんの本だろうと横目でちらっと見るとドラッカーと書いてあってドラッカーかー、と思い、ますますドラッカーが嫌いになってぜってー読むまいという誓いを新たにする。ドラッカーは何も悪くないし、正直言って興味は深い。業界が違うから(というか、皆普通に昔からやってるだけでおそらくマネジメントとかPMとか言わず)関係ないもんね、とかでもなく。食わず嫌い王決定戦て確かテレビであって、あれでこう、私が出るとして、と考えて思い浮かんだ著者3人全員読んでないからなしなし。駄目じゃん。なんだろう。標準装備してなきゃ世の中渡っていけないのかもしれないと、そんな錯覚に捕われるものがたまにあるけれど、きっとそんなことない。読まなくたってお給料は貰える。なんてことを思うのは、略。ディスって万歳。きっとあの彼氏は一事が万事あの調子だろうと勝手に思う。その彼氏のかっこ良さ(見た目。二枚目でお洒落で地下鉄でドラッカー読む)に比べて彼女は普通な感じだった。イケメンの彼氏を持った彼女だった。そこがまた拍車をかける。私なら、と思う。略。ディスって万歳、とは思うけれど、強制CMみたいな感じでこう略。略。私は多分、3年後(3って数字が妙に好きだ)くらいに100円で売ってるドラッカーを購入してページを開いて読みふけり読んでから会う人会う人皆に「ドラッカーって超おもしれー!」と吹聴してる。そんな気がする。で、そんな感じでいい。とてもいい。と、読むもんか宣言。あの彼女はきっと頑張ってドラッカーを買うんじゃないか。そんで彼氏はその頑張りがやだとか言って別れを切り出すのだ。火をつけろ。燃やしてしまえドラッカー。繰り返すけどドラッカーなんにも悪くない。むしろ興味深いし読んでみたいし手許にあったらまず確実に読む。でも彼女が燃やすとき、私はライターを差し出して上から油かける。天邪鬼。ということを酔っ払って喋ってみるとそれは別に天邪鬼でもなんでもないと言われ、え、と問い返すとそれは天邪鬼ではなく卑屈、嫉みとか妬み、とあははと指摘され轟沈。あんたなんでそんな鋭いんだ。ふげえ。