とある人から限りない優しさとともにこんなんどうと言われたことがあってそのとき思いついたものの骨格をメモ。
舞台上には2人しかいない。舞台は90分。2人は最初から最後までそこにいて、ずっと笑顔だ。2人は叫んだりしない。90分間落ち着いて喋り続ける。幕も変わらない。90分の1幕だ。そして大事だからもう1度。2人はずっと笑顔だ。
2人は会話してるように思える。でも途中から観客はあれって思う。かみ合ってないのかも。そこから会話と独り言、輪唱や各々勝手に喋るようにする。被ったりする。
2人が話す内容はずっと一緒で、2人はどこかの誰かの願望しか話さない。○○したいね、とか××したら□□するんだ、とかそんな話しかしない。
あと▽▽が△△できたらいいね、とか。90分間ずっと。そんだけ。過去現在未来の誰かの願望だけを口にし続ける。
そんな発話が渦を巻いて、最後に何かたった一つだけ実現したらいいなと思う。ビール飲みたいな、と言って、ああ最後にそこにだけ第三者が現れて2人にビール渡してしゃべりっぱなしで喉が乾いた二人は美味しそうにそれを飲んで幕。2人はビール好きだ。
90分くらいで2人しか出なくてなんか思いつく?と尋ねられてこれしか思いつかなかった。(荒廃した世界でキリッと美味しい生ビールを求めて彷徨うゾンビ2人の90分会話劇も思いついたけど割愛)。ああリクエストされたのはもうひとつ。君と僕とかそういうのやめてねと。あとあなたの人生を匂わせて。んでやっぱりこれしか思いつかない。2人には実現したら嬉しいなってセリフだけ与える。
面接上手く行ったらいいなとかいう現在、ローマやっつけてというカルタゴ市民な過去。こないだ君のお母さんに会ったけど、君が健康に生まれたらいいなって思ってた。僕もそう思うよ、という未来。
2人は願いだけを口にし続ける。こんなことがあったからそう思うってのを混ぜてもいいね。そういう90分でもいいなって今でも思う。メモ。こうしたい、こうなりたい。こうしてほしい、こうなってもらいたい。そんな願いだけが劇場に渦巻く90分だ。素敵じゃん。正直見た目はつまんない(だって椅子に座った2人が対面してしゃべりっぱで終わる)のでセリフだけでなんか構築しないとな、とは思う。最後に何か実現するならそれにむけて収束していくような円環なり螺旋構造を。
なんかこれこそが願望で、要するに俺はそのときも今も優しい何かを観たいんだな。優しさに溢れた優しさしかないそんなの。上手く行ったらいいね、上手く行きたいなってそれだけを。最初から最後まで本人か誰かの笑顔ってやつを。実現前の笑顔だ。願望を口にするときのだ。
俺は俺の知り合いに全員幸せになってほしい。おこぼれでもいいから俺も、というのがおそらく根底にある。ただ今は、おこぼれじゃなくて少しでもいいから俺も、と欲張りになってる。そこらへんがこの思い付きのアレ。て思う。