オプティカルネットワーク

すぐそばに傍らに大橋のぞみがいるとして俺の存在を認識してるとして口がきけるとして、何してて欲しいかと考えてまず両の手の露出した部位をがぶがぶと噛んで千切って飲み込んで指とか骨だけになってもっと食べたいからと靴下を脱いで服を脱いで関節が問題で口が届かないところが多々あるので俺に刃物を要求する。手渡すと血の気の引いた顔で血塗れの顔でにこりと笑い腹部とか脚部とかを切り取る作業を開始して切り取った先から再び喰っていくもちろん出血多量で途中で死んでしまうでも綺麗にすぐ復活するそして手首からむしり始める。エンドレス。三百日弱毎晩仕事から帰ってきて今までずっと眠るまで数万回それを見てあるとき俺にも一口くれないと振ってみるとやだあげない絶対あげない一滴もあげない、とごぼごぼと言われる存在しない唇を歪められる剥き出しになった少しだけ残った頬の筋肉て笑ったのだと分かる。骨だけになった手でよく包丁握れるなっていつも思う眠くなってきたのでパソコンの電源を落とすと強制的に大橋さんは消えて部屋の汚れも元通りなのに鼻腔から大橋さんの匂い血の匂いは消えないのに割とうんざりしながら少し窓を開けて眠る。目覚めると青ざめた大橋さんが文句を言う。この家には調味料が少ないし電子レンジもトースターも小さすぎて入れないでもこの家には自虐的な大橋さんがいるから調味料があっという間に無くなるから瀕死の大橋さんが右手の手首から先をパンに挟んで食べようと思い左手だけじゃできないから目玉焼き作ってと虚空に向かって言うから歯を磨くよりも顔を洗うよりも先に目玉焼きを二つ作りパンをどけて縮んで黒ずんだ手のひらに乗せてパンを戻すもちろん大橋さんの目玉だ。日課。毎日毎朝三枚のパンが消える日常大きくなったら何になりたいのと尋ねてみたことがあって返ってきた答えは映画のセブンの色欲の女の人あとエクソシストのミーガンとそう言って十字架の代わりに包丁でミーガンと色欲の女の人を始める。聞いてよかった、そう思いながら飽きたので見ない。仕事に行く。帰宅する。ただいま、そう言ってNASってどう思うと聞いてみる。まずテレビ新しいの買って、と言われる。最近太った?と職場でからかわれる。毎朝三枚パン食ってますからね、と笑い、うそー?ほんとですよー。そうだったらいいなって思いながら仕事を順繰りに片付ける。パンの匂いってどんな匂いだっけ、とカレンダーを眺めてて思った。聞いてみた。そりゃパンじゃないと言われてそうかそうですよね大橋さんの血の匂いはパンの匂いと思って気分よく帰宅。略。寝る。もう窓は開けない。