好きだから 忘れないから 似てるから

28週後...(特別編) [DVD]

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そりゃまあ知ってる人が変わっちゃった、というショックがゾンビであるわけだ。どんなカテゴリーでもいいけれど、そのショックをゾンビというフォーマットで見た目分かりやすく表現してるわけだ。知ってる人が知らない人になっちゃった、という寂しさ、色々。色々。あるわな。前はそんなんじゃなかったのに。で。
別にそういうショックを追体験したいから予行練習したいからゾンビ映画を好んで見てるわけではないと思うけれど、それにしてもこの映画、かつてたくさん見た見てるゾンビ映画の中でもぶっちぎりに残酷で悲しくて苦しくて美しい。あまりにも略で美しくてサントラ手に入れてしまったよ。soundtrackで言うところの"kiss of death"って曲ね。その曲が流れる場面ね。
あれはエグイ。あれは見てられない。まあ映画始まってからすぐに音楽とか映像とかいやに気合入ってるなって思った。そう。気合入ってる。本気だ。マジだ。ここまでマジになって何を描きたいんだって思う。で、この曲のとこ。愛情、倫理、苦闘、悲哀、欲求、諦観、絶望といったキーワードを全部何もかもを数分間の(数分間も!)シークエンスにぶち込んだ凄まじい名場面、辛すぎて見てられない名場面。そうだよ。ゾンビって、変わってしまうってことの極限はこういうことだよって。言われてみれば最初っからそうだ。しょんぼりめそめそしてる女の子がトリガーを弾く最初のとこからしてきっかけは愛情で情愛。絶望的な状況でそれだけはっていうすがりつきたい感情が裏返し。だからこそ酷い。みんなそう思ってる。人間性。何もかも失われてしまってもそれだけはっていうものが駄目だってこの映画は美しく描く。気合入れて描く。もうひでーよ見たくない見てられないって場面、この映画、そういう場面に異常に気合入る。見たくて見たくて堪らないハート・ロッカーって映画の主演の人の退場場面とか、いや全力だ。最初から最後まで全力なんだけど、さらに加速するのがたがが外れて映画としての異常なパワーを発揮するのが大絶望場面この映画全部そう。酷い。こんな悲しいゾンビ映画見たこと無い。凄すぎる。酷すぎる。もう駄目だってとこにより気合入れる。酷い。ひでえよこの映画。レイジ・ウイルスとはよく言ったもので、愛情に反比例してぶっ壊したくなる鬼のようなウイルスね。結果としてゾンビになるが。なんだ。畢竟、自分と同じ形してるから。最低ラインとしてそこまで描いてしまった。人だから。同じ形してるからぶち壊したくなる。珍しいと思うよ。問答無用でこんなんいやだなあって思わせる映画。これはそういう映画。そういう映画の極北。到達点。No.1。でも映像も音楽も演技も構成も、全部美しい。完璧だ。完璧に酷い。だってモチベーションが飢餓じゃないんだこの映画のゾンビ。