「昼休みにマックに行って食後煙草吸ってたら10時くらいに挨拶周りをしていた新人の女の子が入ってきてコーヒーだけ頼んで煙草を1本吸って2本吸ってその様を全部見ていた俺はふうんあの子喫煙者かと思いながら店を出てエレベーターを閉めようとしたらドアは開き入って来たその子はちょこっと会釈して、君んとこ27階だよねと思いつつ27階を押さないで、何階ですかと尋ねて27階と言われて押してどうもと言われていやと短くその子は27階で降りて俺は28階で降りたのは昨日で、今日マックを出たところでこんにちはと言われてこんにちはと返す。言われるような気はしていた。「まあ、マックって、完全食品って昔どこかで聞いたことがあるんだ。それだけ食ってりゃ死なないっていう」「あそれ私も聞いたことあります」「昼飯何食べてるの」「おにぎりです。転職したてで金無いんですよ」「あー」分かる、それよくわかる。「おにぎりかー。具は?」「味噌と、梅干です」「コーヒーは外せないんだね」彼女はちょっとだけ間を空ける。「はい」あなたもでしょ、と言われたように思うそんな目。なので言う。「俺も俺も」完全食品云々はその子があまりにも可愛いすげえ好みっていう言い訳に過ぎず、どうしてか俺もまたあまり金は無く、下巻が出たら一気に買おう思ってた偽物語は来月か再来月か買おうかなと思う。社会人になって変わったことと言えば、こういった諦めと納得ができるようになったことは、今。すぐに。今。誰と競っているわけじゃないのに逆だった趣味の即効性を重視していた学生のときってなんなんだろうね、とビールジョッキを空けて、このジョッキもそうだ。本を惜しむくせに酒に惜しまない。いつからか思う。3日、4日。酒を我慢すれば欲しい本が買えるんだ。でも酒を。いや、俺は夏にやるハリーポッターの映画、最新作は外せない。「ハーフブラッドプリンス?」そうそう、それ。あの映画の為に俺はきっと何か我慢するな。欲しい本を我慢する。「でも」美味しそうに煙を吐き出した彼女はそのまま刺身を摘まみながら言う。「……でも?や、でもじゃないですね」そう言って笑う。「それで?」それで?「そう。それで」昨日会社まで来たっていう彼氏の話を詳しく聞きたいな。「休憩時間に会社のトイレでセックスして乱れて直してなんともないような顔して職場に戻る女最高だって思う?」そうそうそれそれ。あれだ、職場、不倫!とか思ってるでしょ今こうして飲んでるのも。「思ってますねー。絶対」俺は何を気をつけたらいいのかな。「接触ですかね」触るとか?「はい。気をつけて下さい」やっべー触りてえ。「目と喉を潰されて両腕の筋を切られて。ああ、私看護士になります」あー。ジョニー?彼女はまたもにっこり笑う。「はい」よーし今から筆談、いやなにかランゲージ考えよう」