セントアンナの奇跡 プレミアム・エディション [DVD]

セントアンナの奇跡 プレミアム・エディション [DVD]


最初いいなと思ったのはバッファロー・ソルジャーが渡河を試みる直前に胸の辺りまで生えてる草木を掻き分けて進むんだけど、身体に触れて揺れた草木からふわっと白い綿が飛んで画面の5分の1を覆うくらい舞う画。あれ後から付けたんかなってまあそうだろうけど、いいなーて。次いいなーと思った画はセントアンナで止めさして回る足。幼児に目を留めて切り変わった幼児視点。ていうかセントアンナがすげえ天気良かったこと。直後、ドイツの彼とアンジェロともう一人が生垣の後に隠れるところ。ここで、あれ、と思う。いやいいなってそんときは思ったんだけど今こう思うにあれ、カメラの動きですけど。水平に動くんだけど。で、しばらく見ててヘクターがアンジェロにロザリオかけてあげてその後。ここでもカメラが横にぐいっと。ヘクターをふいっと視界から外す感じで。
なんつうか、バッファローソルジャーもといヘクターの地獄巡り、異界巡り?や、その、物質世界から精神世界につーか、神話の世界に足を踏み入れてしまった、みたいな。神隠しってあんじゃんあージブリの千尋みたいなん近い。あれの千尋がソルジャーよ。白で千尋がヘクターよ。名前忘れたけど4人で一番偉い人いいますし皆思います。ここは違うと。
なんていうかね。もう少しそれを辿ると、あるじゃん、異界のものを食べたら口にしたらもう帰れないみたいなの。でかい人は無論、女の人に心惹かれた2人とか。ヘクターだけがこう、フラットに、引っ張られてないよねあの状況に、と思う。んで。持ち帰ったあっちの世界のおみやげ、玉手箱みたいなもんだと今は思うけど石像の頭部と拳銃が玉手箱みたいに帰還したヘクターのもともとのこっち側の世界に重大な作用を及ぼす。
あの川もさ、なんか分かりやすいと思う今まさに境界だ。千と千尋のトンネルだ。や、だから帰還って表現はおかしいな。ばあさんが言いますが眠る男が起きた、みたいなこと。ヘクターは元の世界に戻るのに再度川を渡る描写が無いのは眠る男が起きたからでしょう。起きた瞬間に境界は取っ払われた、と俺は解釈した。今。ならアンジェロやパルチザンの人が帰る、つうかこっちの人になったのも納得できる。あの村に最後アメリカ兵が来れたのも納得。あの時点でもう無かったんすね境界。
あー。上のほうでいいなと思ったと書いてるカメラ、なんかこう、誰かの目っぽかったのよ。眠る男、つまり神だったんかなって思う。しかし眠る男基本背が低いのか。いや最初の廊下とか。
古くはオルフェウスオデュッセイア、浦島太郎、まあ千と千尋。そんな映画だったのかもねって書いてるうちに思いついてそうだそうだと結論。そういうことにしとく。しとこう。