「来月10日に『釈迦とドラッカー』という催しがある」タイラーは言う。
「わかるだろう」

「想像してみろ」とタイラーは言った。「餌を探すヘラジカがデパートのショーウィンドウの前を行き、腐りかけた優美なドレスやタキシードが並ぶ悪臭を放つラックの列を通り過ぎる。人間は死ぬまで擦り切れない皮の服をまとい、シアーズタワーを覆い尽くす手首ほどの太さの蔦のつるを伝って登る。ジャックと豆の木だ、頭上に広がる水滴のしたたる枝の間をすりぬけて登ると、空気が澄み渡っているおかげで、真夏の太陽に熱く焼かれる、長さ一千マイル、八車線の放置されたスーパーハイウェイの、車の通らない相乗り専用レーンでトウモロコシを焼き、細く切った鹿肉を干す小さな人影までしっかり見える」

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ファイト・クラブ

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