(*゚∀゚)="imagination fiction girl"3

帰宅して廊下の電気を点けて靴を脱いで廊下をと言っても数メートルですが進んでリビングと言っても6畳ですがに到達して電気を点けて上着を脱いで椅子に腰掛けてあーつっかれたと無意識に煙草煙草、ああ上着のポケットだと煙草を取り出してそうだそういや冷蔵庫に飲みかけのコーラがあったなと手を伸ばせば届く距離にある冷蔵庫を開けてコーラを取り出して扉を閉め、いや、今。今なんか。もう1度扉を開けて確認して一瞬こう頭が真っ白というかハテナマークが渦巻くというかなんだ、色だ。冷蔵庫の中に色彩が溢れているというのも棚にずっしりと文庫本が詰まっている。冷えている。なんだこれ、としばらくして思い、一旦扉を閉めたのちに立ち上がって押し入れの中を見るとそこにあるはずの本がゴッソリ無い。ああ入れなおしたのか。思ったけど、思わない。んな馬鹿な。そんな覚えは無いしかし自分しかそんなことができる奴はいないのにとギギギと音が鳴る感じで首を捻りながらもヒンヤリした文庫本の山を冷蔵庫から取り出して押入れに戻してようやく煙草を吸う。そして思う。意味わかんねー。しばらくしてトイレに行こうとユニットバスに通じる扉を開けて電気を点けたらそこに誰かいて超ビビッたというか心臓止まるかと思って廊下の壁に気が付いたら背中から激突していて身体は勝手に震えるはあなた誰と言いたいのに口は廻らないはで硬直するはしてたらその人影はゆっくりと顔を上げておれを見てなんかその顔、見覚え、女性、ていうかやっとここで口が「み、宮崎……、さん?」声引っ繰り返った「ああ、まあ」と平坦な口調でおれを見つつも低い声で無表情に言うその人は女性は宮崎あおいさん、というついさっき。「……」とまあおれは無言になりつつもこれはひょっとして物凄く宮崎あおいに似たそっくりさんだろうかとかなぜか考えていてそう思って見てみてもおれの知る宮崎あおいは最近だと地下鉄のメリケンサックなんとかいう吊り広告のそして地下鉄の地下鉄PR映像の宮崎あおいそのもの。双子か。いや双子とか聞いたことないし。「あ」と口をあの字に開けた宮崎あおいはちょっとごめんねとユニットバスから出ておれの前を直角に曲がりリビングに入って冷蔵庫開けて廊下をつまりおれを見るがその顔「食べたでしょわたしの本……」超怒ってるやばいこれは怒ってる宮崎あおいが怒ってるおれに数歩進めば手が届くそこで。話変わるけど凛として時雨の想像のセキュリティーってサビでおれはずっとイマジネーション・フィクション・ガールと歌ってると思ってましたが違いましてあれゲームですゲーム。ガールのほうがいいのに、とかナンバーガールが好きなおれはそのとき思ったことがあって「いいからっ」ああ駄目だ話が逸らせないっていうか食ってねえ食ってないです食べないです本ああそういえば読み終わったらその本食べるっていう人が出てくる小説おれ一冊だけ持ってた。ああもしかして「宮崎さんもなんだ天麩羅とかにして食べるとか」「そうよ!」間を置かずに言われた。食うらしい。でも今うち天麩羅の調味料塩しかないですよ。天麩羅の調味料は塩よ。そう思わない?思わないと聞かれ、ああやっと宮崎あおいと共通の話題がと嬉しくなってうちにある塩はちょっと高いんすよ吉祥寺のアンテナショップで買った天草の天塩「……うん?」突然唐突になんだかしょんぼりした様子で下を向いて呟く宮崎あおいなんだどうした嫌いなのか天草の天塩「いや、好きだよ。多分好きだよ。ううん、絶対好きだと思う」そうかそうですか良かったしかしいやもうあおいちゃんはなんていうか正直言ってなんていうかめちゃくちゃにかわいい。やっと追いつく。やっと噴出する。あったんだ奥に胸の根っこはだっておれ害虫映画館でいや分かってたがどうしようかと思う、いや。天麩羅。こむ「小麦粉は買ってきたの」ああそうですか。おれの頭はこの時点で大回転していて本棚に押入れに大量にある本の中で食っていいのは天麩羅にしていいものはなんだと状況に「ごめん、凄くお腹空いてるの。玉置勉強って人の本とか、食べてもいいかな?下味とかついてそう」ああ。いいです。だってもうずっとjpeg「売り辛いんでしょう?」そうそうそうそうっていうか下味。そんなついてないです。いやまじです。おそらく最もしたあいやまあ失楽園 7の電波ピリピリアスカちゃんだと思うけどあれはこう、その人の読者の一生ってのは大げさかまあ嗜好を左右するだけの影響力ないし破壊力があると思うし食ったらきっとおいしいと思うでも読まなくていいと思うだからそのいいと思う天麩羅とか唐揚とかいや天麩羅「ところで」あおいちゃんは改まった。「仕事帰りのあなたは今、どうしてかわたし、おそらくは地下鉄の影響によってあなたとわたし、ということを酷い話だけど久しぶりに考えて、冷蔵庫に本、と脈絡無く思い、無理にわたしをそこに突っ込んだ。それについてどうでしょう、っていうかどうなの?どう展開するの?」天麩羅。廊下で、呟き、ああ宮崎さんごめんちょっとトイレに……、と逃げたおれは、十数分後の二人で天麩羅食う様をというか果たしてこの家で天麩羅は揚がるのだろうか。出力最低のあの電気コンロで。「ね、この黄色い部屋って揚げてもいい?」口調を変えた宮崎さんに「あー、いいですよ!」なんとなくずっと持ってたけど一度も読んだことないけどこれからもおそらく読むことはなさそうなのでいいよ揚げても、とおれは。「面白いよねこれ!」「……あー」そうなのか。あおいちゃんが言うならそうなのかあれ面白いのか読むべきなのか読んだのかあおいちゃんつまみに潤滑油にっていうかそうだ「旦那さんとかいいんですか」おれは旦那さんが主役やった芝居(ウィー・トーマス)見たことありますどこだっけそうパルコでと後で言おうと思うあれすっげー面白かったですとか後で言おう天麩羅食いながら言おうと扉を少し開けて声を張り上げてみると「さっきメールしたから大丈夫だよ」なんか半笑いに上擦った音で言われてなんつーか、いいのか、天麩羅食っていいのか。いいんだろう。「ね、今わたしを揚げたいとか思ったでしょ」多分空耳だ。そんな鍋も油もスペースもコンロもうちには無い。ていうかいやそれよりも「揚げたら食べる?」いや、おれは揚げない。宮崎あおいあおいちゃんを揚げたりしないするものかっていうか揚げるってなんだそれと思うが、揚げられた宮崎あおいがあおいちゃんが目の前にあって皿の上にあれば、もう揚げられてしまっていたのなら、それは、おれは「食べる?」あーそういえばお兄さん今何してるの?とおれはその話題を回避する。とりあえず黄色い部屋を食べようと思いそう提案することにする。そうすることにする。「最近頑張ってる?順調?」あおいちゃんは唐突に言う。言ってもらいたい。あー、頑張ってるよ。でもなかなか順調に進まない。おれは言う。言いたい。世の中には頑張れ、頑張るって言葉が大嫌いな人がいて、おれも気持ちは分かる。でも、英語っぽくて好きだ。「英語?」ひとつの単語に色んな訳語が当てられそうな所が。なるほどー。楽しそうに相槌を打つあおいちゃんは下ごしらえに夢中で「ねえねえわたしを揚げるってどういう発想?」と引っ張る。多分、いや多分。いや。おれなら、引っ越す覚悟で告白すると思うね。ふと思い出した昨日今日のプリミティブなニュース、というか引越し手続き準備を完了してから告白すると思う。完了しなきゃ告白できないと思う。「なんの話?」いやその揚げるって話でおそらく発想の元、断られたら引っ越すという後顧の憂いを絶ち。あー。ところで1日が30時間あったらいいと思う。そしたら3時に寝ても7時間寝て10時、4時に相当するから7時間も寝たのに4時!めちゃめちゃ早起きじゃん!てなる。合ってるかどうか分からないけど、合ってないように思う。でも「天麩羅?わたしの?」かき揚げに混ぜる、だから爪だけ、つま先だけ、とかひ弱に。正直に。いやいやいや。しかしわたしを揚げたいて。女郎すか。「はあ?」ななななんでも、ていう、て言うな。いや言わない。思うだけ。あとから。思わない。しばらくして、おれは天麩羅を食べているのだけれどもやけにばりばりしたものをさっきから食べていてねえ何揚げたのと顔を上げたらそこには誰もいなくて部屋には揚げたての天麩羅のいい匂いが漂っていてそれはあおいちゃんがしょっちゅう油を変えたからだと思うさっきまでサクサクだったのにこれなんだろうあおいちゃんどこ行ったんだろう、おれは口から天麩羅を離して目の前に持ってきてしげしげと眺めてみる。皿に戻して、衣を剥がしてみる。それはユリイカのDVDで、害虫のDVDで、ラブドガンの。これ誰作ったんだろうとか思う。おれか?なんでおれは、こう。でもDVDはおいしくて、冷めないうちにと思っておれは塩を振って食べるのだけれどそんなに振ってないのになんだかやけにしょっぱいような気がして天麩羅はどんどんもさもさいやはっきり言うと湿り気を帯びていて湿気ってしまっていて箸をもったまま顔に手をやると濡れていて、そうか、と思う。湿っていたけれどもまだ暖かい天麩羅を泣きながら全部食べて、食べる度に噛む度にユニットバスのほうから切なげなか細い悲鳴が聞こえて、買いなおさなきゃなDVD、と思う。そしたらまたおれは彼女が揚げた彼女を食べるんだろうと思いながら、箸を洗って、皿を、鍋を洗って、寝て、今朝起きたら視界が曇っていたから、ああ、もしかして寝ながらまた泣いてたのかおれ、そう、瑛太が広辞苑を求めたような感じで今日おれは地下鉄からメリケンサックの吊り広告を盗もう。揚げたらきっと旨いに違いないと目を擦りながら思う。やけに部屋が寂しいとか感じながら。減ったもんな本。夕べ。食っちゃったんだ。思う。さっき。今朝。